棚の隅

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小さなおもちゃ屋を営む康雄の店へ、ある日ひとりの女性が客として現れる。
康雄と言葉を交わすこともなく、棚の隅から売れ残りの古いおもちゃを買って出ていった中年女・・・・、それは八年前、康雄と別れた妻、正確には男をつくって夫と幼い息子・毅をおいて、蒸発同然に家を出ていった妻の擁子だった。
以来、擁子はたびたび康雄の店を訪れる。
そしていつも同じように、売れ残りのおもちゃを買っていくのだった。
今は再婚し、息子は継母に実の母親以上になついている。
そんな平穏な生活の前に、突然あらわれた元妻と、奇妙な行動に心さわぐ康雄。
いっぽう、擁子も新たな恋人・進藤との生活に割り切れないものを感じていた。
進藤の求婚を、擁子は素直には受け入れられない。
擁子の心の中には、残してきたわが子・毅の面影が強くきざまれていた。
毅への思慕が、擁子を康雄の店へと向かわせていた・・・。