水谷孝次さん
あるアーティストと出会った。
水谷孝次。 数多くの広告を手がけ、同じように数多くの賞を受賞した、優秀なアーティストだ。
「笑顔を撮ってるんだ」 と彼はいう。
悲劇の中から立ち上がろうとする、“NYの笑顔” を撮りたいのだ、と。

これまでも彼は、大震災の後の神戸でも、復興する町並みの中の笑顔を撮ってきた。
その笑顔は、優しく、強い。
打ちのめされても立ち上がる人達の笑顔は、嵐に倒されても次の日には何事もなかったように花を咲かせる野の草のような、生き物としての強さがある。
神戸での彼の写真を見てそう思った。

迷惑を承知で、彼の撮影に同行させてもらった。
NY中を走り回り、声をかける。 その人の自然な笑顔が出てくるまで、コミュニケートする。
決して、楽な仕事ではない。 9月11日をはさんでの9日間で、撮影した人数は350人。
その様子を見ていると、イデオロギーや宗教、人種の違いといったものが生み出した戦争に、沢山の笑顔をサンプリングし、積み上げて行く事によって、立ち向かおうとしているように見えた。
写真には、必ず本人のMERRY(幸せ)な事、が自筆で添えられる。
「お日さまがよく出ている日に公園を散歩する事」
「友達としゃべる事」
そうだよね。
そういうの、好きだよね。
そして、そういうの、みんな好きなんじゃないの?
国だとか、戦略だとか、宗教だとか、肌の色だとか。
そんなのとは関係なく。
彼の活動から伝わってくるのは純粋なメッセージだ。
もっと、シンプルに考えよう。
もっと、生きる事を楽しもう。
日時: 10:54

