戦う前からが決勝戦・・・ 武将、春口
ラグビー大学選手権決勝は史上初めて6年連続の同一カードとなった。
早稲田対関東学院。
バックス7名のうち、4名が日本代表の経験を持つ早稲田大学ラグビー部の
3連覇を疑う人は、ほとんど居なかった。
ラグビーを専門に担当しているベテラン記者でさえ、勝つのは早稲田だと言い切った。

1999年度の決勝戦が何度も私の脳裏をよぎった。
淵上主将率いる関東学院は、同志社以来2校目の3連覇に王手を賭け、決勝で慶應と対戦。
関東学院の3連覇は濃厚と見られていた。
だが、関東学院は、なすすべも無く、上田昭夫が情熱を注いだ慶應の軍門に下った。
3連覇の夢は叶わなかった。
10年連続で決勝の舞台にチームを導くのは並大抵のことではない。
一部の大学が、勝つためのノウハウを独占していた時代ならともかく、
今では多くの大学が海外からの人材や情報を得て強化を進めている。
3連覇に挑む早稲田との決勝戦を前に、春口監督は選手たちに言った
「このグランウンドで伝えるべきことはもう何も無い。
国立競技場でエンジョイして来い!輝いて来い!」・・・・・・
選手たちは、国立競技場でもリラックスして決勝戦を待った。

早稲田は対抗戦で6年間無敗の常勝軍団。 昨年度は日本選手権でトヨタ自動車を破る金星を挙げた。
関東学院との過去5年間の決勝対決も、3勝2敗と勝ち越して2連覇。 今年も早稲田の強さは群を抜いていた。
しかし、春口監督は前日の練習を終えて言った
「今まではボロボロになってここまで来たが、今回は最高のコンディションで来られた。 もう頂点に立っているような気がする」・・・・・・と。
「監督歴33年間のキャリアと戦略が、勝負を決めますね! 今までで、一番楽しみな決勝戦です!」 と、
私が言うと、嬉しそうに笑った。

「大学日本一になるために関東学院に来た」 という選手が多くなった。
この10年間で、関東学院は大学選手権に6度優勝。 関東学院の黄金時代である。
前日の練習前、リザーブ18番の石田雅人がノートを見てサインプレーを確認していた。
日常的な予習風景。 ラインアウト攻略が成功することを、このとき直感した。
翌日、春口監督の戦略通り、早稲田はラインアウトに混乱をきたし、自滅の道を歩んだ。
10年連続決勝進出の伝統。 春口監督のキャリアが決勝戦を制した。
名門の早稲田、3連覇挑戦への重圧から解き放たれた中竹監督の来季に期待したい。
「雑草に花が咲いた」 と評した春口監督。
釜利谷で、たくましく育った選手たちの時代は、もうしばらく続きそうだ。


