北谷の道場

2004年03月01日

プロ野球のキャンプを取材して30年目になる。
昭和50年、鹿児島の湯之元キャンプで、ヤクルトの
荒川博監督から王貞治選手の若き日の逸話を聞いた。

「5年目の杉浦亨は、王貞治を上回る素質を持っている。
王と同じだけ練習すれば偉大な打者になれるのに残念だ」 ともらした。

昭和52年、ライオンズの島原キャンプでは、松木謙次郎氏が 「新人の立花義家は、
素質では若き日の張本勲を上回る」 と語った。
いずれも御大の部屋に上がり込んでの取材。 古参の解説者からは、
若造のくせに生意気だと怒られた。 偉大な打者の練習は、質と量において、
計り知れない違いがあることを教えられた。

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平成16年2月6日、10時。 北谷球場に到着。
すでにメイン球場では打撃練習が始まっていた。
打撃ケージはファウルグランウドの2つを含めると全部で5箇所。
ケージを代えながら約1時間、打ちまくる。
終わると室内練習場に移動して更に1時間の打撃練習。
メイン球場は、8時45分からの特別打撃練習で1日をスタート。
最低でも、1人1日2時間は打つ。 メイン球場は日が暮れるまで、打撃専用球場となる。
同時進行で、隣の第二球場では守備練習が行われている。 この球場は守備専用。
高代チーフコーチが、平気で連続1時間のノックをこなしていた。

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落合監督も午後6時頃まで球場に居る。 最後の選手が練習を終えると、午後7時を過ぎていた。
2人の外国人野手を含む、立浪や福留などの8名の主力選手は、クルマで20分ほど離れた読谷球場での自主練習。 メニューは全て選手任せ。 報道陣には白紙の予定表が配られた。 それ以外の全員は、監督指揮下の北谷球場で練習。 一度に10名の投手が投げられるブルペンも、今まで見たことがなかった。

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川上憲伸を軸にした中日の投手陣は層が厚い。
その中で、横浜から移籍したドミンゴが相変わらず速い球を
投げていた。 中日の守りをバックに投げる今季はどれだけの成績を上げるのか興味深い。
横浜打線の天敵にならなければ良いのだが・・・。

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横浜高校出身の 「高橋光信」、東海大相模高校出身の 「森野将彦」 2人は打撃と守備、
共にコンビで練習していた。 2人とも 「去年の2倍は打っている」 と胸を張った。
森野は 「最低でも2時間は打ちます。 それも、全て前から来るボールですから」 と目を輝かせた。
森野は練習の意味を良く理解している。 打者は18メートルほど前方から放たれるボールを打つ。
試合では、斜めからフワッと来るボールを打つことなどあり得ないのだ。
この2人は今季、一塁のポジションを競う。 これだけの練習をすれば、何人かの選手が、日の目を見るかもしれない。


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『 プロはエリート集団なんだから、きっかけさえつかめば、
みんなどこかで弾けるように成長する可能性を秘めている。
そんな選手が、何人出てくるかが勝負だね 』

落合監督の今季は、この言葉に集約される。

中日にも 「落合博満」 に匹敵する素質を持った選手がいるのかも知れない。
その素質を開花させるためには 「落合」 に匹敵する練習をこなさなければならない。
松木謙次郎さんや荒川博さんの言葉を 「北谷の道場」 で思い出した。

日時: 15:27
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