菅平紀行(三)・早稲田ラグビー健在

2003年10月01日

清宮監督就任と同時に蘇った早大は今年も健在だ。
3年前まで、6年連続で対抗戦2敗の早稲田は、
名門復活に向けて水面下で準備を進めていた。3年前の大学選手権決勝は、
関東学院と法政。 リーグ戦同士の決勝対決は史上初めて。 大学の決勝に
ふさわしいレベルの高い試合だった。
tvkの決勝の解説は日比野弘さん、放送席では前年度の決勝で
関東学院の3連覇を阻んだ、慶應の上田監督も観戦していた。
放送が終わった直後に慶應の上田さんが言った。 「我々も考えなくてはいけませんね---」
早稲田の日比野さんは微笑んで答えた。 「うちは、もう準備をしていますよ---」

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それからしばらくして、早大新監督に 「清宮克幸」 が就任した。
清宮監督1年目のシーズンが、早稲田のラグビーを育んだ、東伏見グランウンドでの最後のシーズンになることも決まった。 大学王者の関東学院は芝のグラウンドで練習している。 早大は上井草に芝のグランウンドと合宿所、近代的なトレーニング施設を作る準備を進め、清宮監督2年目に完成した。

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就任1年目の清宮監督は関東学院大学のグランドを訪れた。
早春、横浜市も南端の釜利谷に、ラグビー界の名門早稲田の指揮官が訪れることなど、これまでは無かった。 早稲田ブランドに奢ることなく、清宮克幸は春口廣を訪ねた。
時の名将に礼を尽くすと同時に、関東学院のラグビーを目標に早稲田を鍛え直すことを
誓った。 6月のオープン戦では三ッ沢を訪れて胸を借りた。 結果は早稲田の無残な大敗だった。 試合を終えて話を聞くと 「今の力の差がそのまま出た。
今はこんなものでしょう。 8月の菅平では点差は半分、1月には互角にします」 と夢のようなことを言った。 とても7ヶ月で追いつける差ではなかった。

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8月に発行された早稲田ラグビー部員の想いを綴る 「鉄笛」 に、清宮は書いた。
「俺に、ついて来いよ。 お前達を必ず日本一にしてやるから---」
菅平高原、真夏の夜の夢は、1月に現実となった。 対抗戦を14年振りの全勝で駆け抜けた早稲田は、大学選手権の決勝で関東学院と対戦することになった。


決勝戦の前夜、こみ上げる想いから、清宮は、止めも無く涙が溢れたという。
自分は涙もろい男だと言い放った。 決勝で、あの関東学院と戦うことが出来る。
清宮にとっても、それは夢だったのかも知れない。 わずか5点差で敗れたが、互角の戦いだった。

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1年後、5点差で関東学院の3連覇を阻み、13年振りに早稲田は大学の王座に就いた。
連覇の難しさを清宮はかつて現役時代に体験している。 29年振りの連覇に挑む今季の早稲田は、対抗戦の開幕から連勝を続け、目標にひた走る。 清宮監督3年目。
早稲田ラグビーの救世主は、有終の美を飾ることが出来るのか。
おそらく決勝に進むのは間違いないだろう。 出来れば相手は関東学院であって欲しい。

日時: 14:54
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