ちょっと一言 Vol.5
巨人を除いたセリーグ五球団の春季キャンプを沖縄で取材してから、
半年の月日が流れた。
地元の横浜ベイスターズの苦しい戦いは覚悟していたが、
予想を上回るペースで敗戦を重ねた。 阪神が圧倒的な強さを見せた。
キャンプで星野監督と5枚ほどの2ショット写真を取らせて貰った。
すべての写真が自信に満ち溢れた笑顔だったのを思い出す。
残りのペナントレースで、横浜ベイスターズの健闘を祈りたい。

ナイターシーズンは帰宅時刻が深夜になる。 一昨年までは、愛犬 「太郎」 が庭先で迎えてくれた。
何時に帰っても、太郎は鎖をチャリチャリ言わせながら私の前に現れた。
玄関の脇まで届くように、一番太い鎖を買って2本繋げて使っていた。
気性の激しい犬だった。 決して他人に尻尾を振ることはなく、無駄吠えをしない有能な番犬。
猫やペットの小型犬には見向きもしなかった。
太郎と暮らした14年間、帰宅したときは、玄関の扉を開ける前に、
太郎としばしの時間を過ごした。 楽しみなひとときだった。
夜中に太郎が吼えるのは住民以外の何者かが通ったときだけ。
近所の人達の足音を記憶していたのだろう。太郎の居ない無防備な夜にも、ようやく慣れた。

庭には人知れず生命を育む植物がある。 けなげな生き様がいとおしい。
我が家のサボテンとは10年ほど前に出会った。 今では大きく育って花をつけるようになった。
年に1度、わずか2日間ほどの花の命は、うたかたのように初夏の庭先を彩る。
株分けした子供のサボテンも数十株になった。
秋には植え替えなければ窮屈だろう。
小さなサボテン達の林を見ていると、ほのぼのとする。
薔薇のように病気や虫の駆除の心配も要らない。
牛糞も要らない。 剪定の必要もない。
春と秋に、時々水をやれば良い。 陽に当ててやれば、たくましく育ってくれる。

密やかに花をつけるのは 「月下美人」 いかにも日本的な命名だが、メキシコが原産だという。
冬の寒さには極めて弱い。 自分の背丈よりも大きくなったので、今年の冬は外に置きっぱなしにした。
葉が凍傷にかかり、かなりの部分が失われた。
瀕死の重傷だったが、たくましき生命力でこの夏、甦った。
月下美人は、8月4日の夜に花をつけた。
夜9時、「つぼみが動き始めた」 とメールが入った。
日付が変わってから帰宅するとすでに満開。 独特の芳香を放って出迎えてくれた。
ほんの数時間の花の命。
明け方には萎んでしまう。
月下美人との出逢いは、夜に限られる。 しかも1年に、一晩限りの夜である。
残念ながら、曇り空からは上弦の月も、みずがめ座流星群も見えなかった。

