タイムスリップした高校サッカー選手権 神奈川県大会決勝戦

0009.jpg10年前の事、何か覚えていますか?

第75回全国高校サッカー選手権 神奈川大会。
私が初めて高校サッカーの仕事をしたのがこの大会でした。

サッカー自体どんな競技なのか何も分からない状態だった私は、ルールブックを読んだり新聞記事に目を通すものの 「FW(エフダヴル)ってなんだ?」「MF(エムエフ)?」まるで暗号を解読するような作業。
「オフサイド」 「PK」 くらいの用語になると、用語説明に載っているのに 「FW」 の説明は載っていない・・・きっとあまりにも基本的なことだから載せてないんだ(汗)

人に聞くにしても 知らないことが多すぎて、何から聞いたらいいかも分からない状態。取材先では、会話を必死にメモして 分からない言葉を後で調べるという繰り返し。 そのうちに「FWってフォワードか?」 と謎解きが出来た探偵のような気分でした(^^;)

そんな私がベンチリポートと応援席リポートを担当することになった決勝戦。桐光学園vs県立弥栄西。

実況担当のアナウンサーにくっついて「11人で戦うスポーツで・・・」 という所から教わり、何とか当日を迎えたものの、まだ意味が分からない用語が所々出てきて、冷や汗をかきながらのリポートでした。

試合中
「監督が押し上げろって言ってるように聞こえるんですけど・・・」 とフロアディレクターに聞き間違いでないか、つじつまが合うか確認してからリポートするという あっぷあっぷの状態(+_+)

ハーフタイムでは応援席に移動。佐原キャプテン(現在フロンターレでプレー)のお母さんにインタビュー、と思っていたのに 大応援団の中から探し出せずこれまた冷や汗。

焦りを察知した桐光学園の父母の方々が「俊輔君(現在セルティックの中村俊輔)のお母さんがこちらにいるわよ!」とアシスト。

中村選手のお母様も突然の依頼にも関わらずインタビューに答えてくださりホッと胸をなでおろしたのでした(今でもホントに感謝しております!)

この試合、0-0で延長に入るとお互いに1点ずつを決めてPK戦へ。
PK戦を6-5で制して優勝を果たした桐光学園。

全国大会では決勝戦で市立船橋に敗れたものの神奈川県勢初の準優勝に輝きました。

・・・あれから10年。
実況席に座り 伝える決勝のカードは、桐光学園vs県立秦野

秦野の中村監督は就任して10年目。
ようやくチームを選手権の決勝戦に導きました。

桐光学園佐熊監督。
あれから3度決勝に進みながら あと一歩で涙を呑んできました。

両チームとも、7月にスタートした1次予選から 9試合を戦って迎えた決戦の日。
選手たちにとっては、どちらも勝てば初の全国大会。
10年前のように0-0で延長戦に入り 両者一歩も譲らない展開。

お互い足を止めずに集中して守り、延長に入ってもなお走れるというのは
普段から相当厳しいトレーニングに耐えてきた証。
全ては今日勝つために。

10年前のようにPK戦になるのかと思われた 延長後半ロスタイム。
一瞬でした。

小・中ではチームメートだった 桐光FW⑨永村と秦野GK①末永。
試合前、永村 「バシバシ行くよ」 末永 「止めるよ」 と言葉を交わした二人。
永村のループシュートが末永の頭上を越えて、ゴールに吸い込まれていくシーンは なぜかスローモーションのように見えました。

試合終了後 負けた秦野に涙は無く、GK末永の表情もどこか晴れやか。

出来ることは全てやり尽くした。 その結果桐光が一枚上だった。
完全燃焼の後の爽やかさだったのかもしれません。

今大会は3連覇を目指す渕野辺も、インターハイで優勝した桐蔭学園も2次予選で敗退。神奈川200校の代表になるというのは 本当に厳しい道のりです。

準決勝で 秦野にPK戦の末敗れた武相のGK横手(2年生)が話した言葉「選手権は会場の雰囲気も独特だし、3年生が最後だから本気でやってくる。だから本当に強いチームしか勝てない」

PK戦やロスタイムでのゴールという厳しい試合を戦い抜き、この難関を突破した桐光学園。
12月30日に開幕する 第85回全国高校サッカー選手権大会ですばらしい試合 そして笑顔をたくさん見せて欲しい。

10年前に立った国立の舞台へ 再び!!

text:三﨑幸恵